あの日、あの夜、プールサイドで
「8歳差なんて大した問題じゃないじゃん。」
妹のようにかわいがってた寧々。
ヒマワリみたいに笑う、俺の寧々。
寧々は俺の天使で
何より大切な宝物だったけど……
「あのなー、ジュン。
寧々はどうやったって妹だよ。」
「そう??」
「うん。寧々を抱くって、近親相姦してるみたいでなんかヤだ。」
大事すぎて、大切すぎて
抱くとかヤるとか
そういう肉欲の対象で見ることすら罪に思えてキモチワルイ。
俺の首にかけられた小さなお守り。
寧々の欠片を見ながら
「寧々は俺の大事な妹だから、絶対そんなことしない。」
『コウ兄ちゃん、だぁい好き!!』
大きな口で、ニコニコ笑う、寧々の笑顔を思い出しながらジュンにそんな一言を呟くと
「でもさ??
俺はコウちゃんはズルいヤツだから、いざとなったら抱くと思うよ。」
ジュンはまた、こんな意味の分からないコトを言い始める。
「…は??」
「寧々がさ??
真彩と同じ状況で泣いてたらどうする??」
真彩と同じ状況…??
“抱いてくれ”って寧々がせがむってコトか……??
うわーー…ありえない。
あの寧々が迫ってくるなんてホントにファンタジーの世界だぞ??
俺の記憶にある、5歳の寧々を思い出してクスリと笑うと
「そうやって笑ってるけどさー??
コウちゃんは寧々を失いたくない気持ちの方が大きいから、アイツをつなぎ止めたい為だけに抱いちゃうんじゃないの??」
ジュンはまた、俺にわけのわからない言葉を呟き始める。