あの日、あの夜、プールサイドで


「しつこいな。
寧々は妹だからそう言う対象じゃないって言っただろ??」


いい加減しつこいジュンに嫌気がさしながら、言い返すと


「そうは言いながらもさ??
コウちゃんは許せるの??」

「は?何を。」

「寧々が他のオトコとそういうコトするの。
寧々が自分以外のオトコを特別な目で見て、自分以上に好きなヤツができるって……そういう状況を許せるの??」


ジュンは静かに問いかける。



寧々が俺以外のオトコを好きになる。
それは今まで考えたことなんてなくて、想像もしてなかったことだけど……。



コウ兄ちゃん大好き、と言ったあの唇が違うオトコの名前を口にする。火のように熱くてふにふにのあの手が他のオトコを抱きしめる。



――う…ムカつく……。
それはちょっと許せそうにないかもしんない……。



想像しただけでムカついて
カラダの奥から感じたこともない激しい怒りが込み上げる。



そんな俺の変化に気づいたのか


「離したくない。
自分から逃がしたくない。
コウちゃんが寧々に対して想ってる気持ちって、見てるこっちが痛くなるくらい切実なものがあったからさー??“抱いてくれなきゃもうサヨナラするんだから!!”とか“抱いてくれなきゃ他のオトコにしてもらう!!”とか言われたら、悩みながらも抱いたんじゃねぇの??」


ジュンは静かに核心を突いてくる。



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