あの日、あの夜、プールサイドで



多分…俺の両親もこういう奴らだったんだ。
人を傷つけ、自分勝手に生きた、思慮浅いくだらない人間。そいつらの息子である俺にはそいつらの遺伝子が生きている。


どんなにもがいても…アイツらが渡した“遺伝子”という呪いからは逃れられない。



――ゴメン…寧々

ゴメン、静江さん…。




ごめんな、静枝さん。
あなたがどんなに大切に育ててくれても
愛してくれても、俺は根本が腐ってる。


腐って、腐って、腐りきってる。


きっと……これが本当の俺なんだ。



ココロの奥からグングン湧き上がる憎悪と、虚無感。それに、ひどく攻撃的な自分。


――どうしてなんだろう。


こんな自分が嫌になる。


人を傷つけることしかできなくて、自分本位にしか生きられなくて、大切な大切な弟分にこんなコトしかできない自分。そんな自分自身が本当に嫌で嫌でたまらない。



嫌悪感で吐きそうだ。



どうして大事にできない??
ジュンは大切な友達であり、家族であり、愛すべき弟じゃないか。
俺はどうして、こんなつまらないことで苛立ってるんだろう。



ジュンを攻撃する前に、やるべきことは沢山あるハズなのに……



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