あの日、あの夜、プールサイドで
――え……??
噛みつく相手が違うって…どういうことだ…??
ジュンは真彩のコトが好きなワケで
突然現れたライバルにキレちゃったワケで…。
散々噛みついておきながらこういう言い方はないと思うけど“噛みつく相手”なんてジュン以外にいないんじゃないか??
ジュンの言葉に驚いて一瞬身を固まらせていると
「コレは言うつもりはなかったけどさー??
そこまで言うなら言ってやるよ。」
「…え??」
「月原。」
ジュンはワケのわからない言葉を口にする。
月原
その言葉にはイヤと言うほど覚えがある。
俺の中学時代の担任で、水泳部の顧問で、俺を競泳の世界に引き入れた張本人で、SGスイミングスクールに俺を無償で通わせることに成功した策士。
月原和也は俺の恩人ともいうべき人。
月原って…あの月原だよな??
どうしてこんなところでアイツの名前が出てくるんだろう…。
混乱する俺に
攻撃的な目で俺を見据える、ジュン
何も言うことが出来ずに固まっていると
「月原と真彩、あの二人ただの関係じゃないぜ??」
「…は??」
「コウちゃんは練習漬けで知らないだろうけどさ??月に何度か真彩と月原は密会してる。」
「…え……??」
「コウちゃんが練習してる日を狙ってね。」
ジュンはこんなありえない言葉を言い放つ。