あの日、あの夜、プールサイドで
「いいザマだね、月原。
アスファルトの上で、のた打ち回って苦しんでる姿なんて…女子高生に手を出す淫行教師にはお似合いの惨めさなんじゃない??」
「…そう…かもな。
でも意外と悪い気分じゃねぇよ??」
――は??
なんだよ、この余裕。
泣いて痛がって、許しを請えば許してやろうと思っていたのに。
ムカつく…
もっともっと苦しめてやる。
もっともっと痛めつけてやる。
余裕綽々で、むしろ嬉しそうにほほ笑む月原に言いようのない殺意を抱いて
「ふ~~~ん。
じゃぁ、まだまだ痛めつけても平気ってコトだね。」
俺は月原の腹をガスガスと踏みつける。
「ウグっ……!!」
「コウちゃんやめて!!」
苦しむ月原に泣きじゃくりながら俺を制止しようとする、真彩。
――クソ…クソ…っ!!
そのすべてが気に入らなかった。
黙って俺に殴られてる月原も、アイツを庇って泣きじゃくる真彩も、その何もかもが癇(カン)に障る。
ムカつく…
ムカつく…!!!
月原と真彩にムカついて
俺を取り巻く環境にムカついて
何よりもこんな俺を生み出した神様にムカついて
全てを終わらせようと右足を大きく持ち上げ、アイツにトドメを刺そうと思った、その時。
「やめなさい!!光太郎!!
あなたは寧々ちゃんのお父様と同じことをしたいのですか!!?」
静枝さんがこんな言葉を俺に向かって投げつけた。