あの日、あの夜、プールサイドで


誰も愛さない

誰も信じない


運なんて俺にはない。
だって神様は俺のことが大嫌いなんだから。


みんなには神様はいるんだろう。
だけど俺には神様なんていやしない。


俺には……悪魔が微笑んでる。
残酷で冷徹な悪魔だけが俺の味方だ。


それなら、俺は悪魔を味方に歩いて行こう。


俺はもう誰も信じない。誰も愛さない。
俺が信じるのは自分だけ。
どんなことがあっても自分以外は信じない――……




そう心に決めてプールサイドに手をつき、水から上がると


「キラくん、まだいたんだねぇ。
玲奈嬉しいっ!!」


俺を狙うバカオンナ・佐藤玲奈が俺に向かって微笑んだ。




いつもの俺なら相手にしないでとっとと帰るところだけど


「まぁね。
イヤなことがあったから帰りたくなくってさー??」


悪魔なキラは玲奈ちゃんに向かってニッコリと微笑む。




すると何かを察したのか、玲奈ちゃんは俺の右手にすり寄って胸をグッと寄せ付けると


「じゃぁ…今日は玲奈とイイコトしちゃう??」


誘うように、下品な上目づかいで俺を見上げる。




――ふ~ん。



別に玲奈ちゃんのことなんて好きでもなんでもないけど…


「したいのは山々だけど俺ビンボーだから金ないよ??」

「…え??」

「玲奈ちゃんみたいなお嬢様をココで抱くわけにもいかないしさぁ??どうしようね。」


俺は玲奈ちゃんを挑発するようにクスクス笑う。


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