あの日、あの夜、プールサイドで


俺は家に帰りたくない。

だから抱いてやってるんだよ。

いつもなら相手にもしないオンナにご奉仕してやってるんだよ??



非難なんてされたくないね。
むしろ褒めて欲しいくらいだよ。


好きでも何でもないオンナなのに、ちゃ~~んと下半身は反応してくれてるんだから。





俺はあの日、プールサイドで“コウにいちゃん”にサヨナラを告げた。



「ん……キモチイイ……。」

「じゃぁ、玲奈ちゃんも俺をキモチヨクしてよ。」



プールサイドに体を添わせて2人で横になりながら、俺は悪魔に固い固い握手を交わした。





もう誰も信じない。

もう誰も愛さない。

俺は俺しか信じない。

神様なんてこの世にはいやしない――……




玲奈ちゃんを抱きながら考えていたのはそんなこと。




あの日、あの夜、プールサイドで、俺は俺に別れを告げた。



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