あの日、あの夜、プールサイドで

当然のことながら、コレは全部演技。
正直玲奈ちゃんのコトなんて好きじゃなければ、何とも思ってない。むしろ尻軽すぎて吐き気がする。



でも……玲奈ちゃんの父親はIT企業の社長で、彼女は“超”のつくお金持ち。



それならさ??
上手く操ってれば、いい財布代わりになってくれそうじゃない??



――利用できるものは利用してやる。



心に決めた俺の信念を実践すべく、相手が堕ちるのを待っていると


「忘れないよ。
私もキラくんのコト好きだもん!!」

「…玲奈ちゃん…。」

「お金のことなら心配しないで?
玲奈、キラくんの為なら何でもするから。デート代もホテル代も玲奈がぜーんぶ持つから大丈夫。」

バカなレナちゃんは、まんまとワナにかかり出す。



――バーーカ。



俺は心の中で大声で笑う。


まんまと騙されちゃって、バカな女~。
ま、会ってる間は敬意を払ってご奉仕してやるけどさ??愛なんて絶対にくれてやらないから覚悟しといてね??


俺は俺しか信じないから
勝手に俺の偶像に恋してればいいよ、おバカな玲奈ちゃん。




女ってちょろい。
好かれようとしなければ、愛されようとしなければ、恋愛なんてタチの悪いゲームと一緒だ。




あの日、あの夜、プールサイドで
俺は悪魔に魂を売り渡した。


永遠に誰も愛さない
永遠に誰も信じない


そう、自分に決めたんだ。




藤堂。
オマエはそうじゃない、って言うかもしれないけどさ??


じゃぁ、俺が証明してやるよ。
愛なんて足かせ以上の何物にもならないということを。

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