あの日、あの夜、プールサイドで
おっとりした喋り方
見てるこっちがホンワカしてくる、あの笑顔
甘ったるい声に
全てを包んでくれそうな、優しい雰囲気。
――似てないよ。
真彩とおねーさんはちっとも似てない。
「キョウちゃん。」と呼ぶあの声に最初はとてもびっくりしたけど。あの凛とした後ろ姿に何かを思い出して、ガラにもなくドキドキしちゃったけどさ??……それが理由なんかじゃ決してない。
「違うよ、ジュン。
別にそんなことで俺は藤堂を追い詰めたいワケじゃない。」
「…ホントに?」
「…ホントに。」
俺は欲しいだけだ。
栄光と称賛と、確実な人生が。
運なんて俺にはない。
イイコでいたって神様はご褒美なんてくれやしない。
欲しいなら待ってちゃダメだ。
運は待つものじゃない、チャンスはいつか来るものじゃない。
運もチャンスも何もかも…
自分で作る物なのだから。
「俺は証明したいだけだよ。」
「証明??」
「そう。愛なんて幻想にしか過ぎない、ってことをね。」
だから、関係ない。
おねーさんと真彩は……何も関係なんてない。