あの日、あの夜、プールサイドで
俺、月原和也26歳。
血液型AB型
身長178センチ
両親は……いない。
オヤジは小さな町工場を営んでいて、ささやかだけどそれなりに幸せな毎日を過ごしてて。俺、親父、オフクロ、それに2つ下の妹と4人で幸せに暮らしていたけど……俺が小学6年生の頃、その幸せはすべて崩れた。
人のいいオヤジは友人の借金の連帯保証人になっちまったんだ。
「ありがとう、月原さん!
絶対にこのお金は返すから、安心してくれ!俺は絶対に逃げたりしないから!!」
オヤジの友人は泣きながらそう言って。何度も何度もオヤジに頭を下げていたにもかかわらず……その3か月後にきれいさっぱり夜逃げしやがった。
それから毎日は地獄だった。
朝となく夜となくヤクザが家に押しかけ、取り立ての毎日。工場も上手く回らなくなり、何もかもを売って丸裸にされた挙句……おふくろは妹を連れて家を出た。
家も車も何もかも
遂には工場まで抵当に入れなきゃいけないとなった、その日の夜。
「ごめんな、和也。
これから大変になると思うけど…父さん頑張るから。一緒に強く生きていこうな。」
そう言って、オヤジはボロボロの服を着たままニッコリとほほ笑んだ。
その次の日
オヤジは自己破産申請をして
生活保護の申請をして
オヤジの知り合いが紹介してくれたオンボロの6畳一間のアパートに、二人だけで引っ越した。