あの日、あの夜、プールサイドで
「ブハッ!!つ、月原!!俺、鼻に水入った!!」
「ハァ~??何やってんだよ、キラ!!
ターンの時にはしっかりアゴを下げろつっただろうが!!手伝ってやるからもう一回やってみろ。」
何も知らないキラに競泳のノウハウを教えるのは楽しかった。
才能があるくせに、こういう可愛い失敗をするキラが面白くて、可愛くてたまらなかった。
暑い真夏の太陽の下、青い水の中で真っ黒になりながら泳いでいた、あの頃。
「コウちゃん、お弁当持ってきたよ!」
「ありがとう、真彩〜!!」
俺は初めて、真彩に出会った。
真彩の第一印象は、とにかく透明感のある女の子、ってとこかな。
ワンコな外見した可愛い系のキラが、真彩に尻尾振って懐いてる姿は素直に可愛かったし、真彩の持つフワっとした雰囲気はイイな、と思った。
だけど、出会った当時の真彩は高校一年生。
俺、ロリコンじゃねーし。
普通に大人のオンナが好きだし。
しかも教え子の彼女を取るなんて、最悪最低な鬼畜教師になる気もねぇし??
向坂真彩は可愛いけど、あくまでも教え子の彼女。
そのスタンスで俺はずっと真彩に付き合ってきたつもりだ。
大切なコウちゃんの先生。
そのポジションで俺たちは二年を過ごし、キラが卒業してからは特にコレといった関わりもなく時間が過ぎて。
キラと俺とは固い絆で繋がれた関係が続くだろうけど、真彩とはこのままなのかねぇ…。
そう思っていた頃。
俺は思いもしないところで彼女と再会するハメになったのだ。