あの日、あの夜、プールサイドで
◇ ◇ ◇ ◇ ◇

その後、立ち話の中で真彩は日曜日や大きな休みの間はこの病院の小児病棟でボランティアをしていることがわかった。

院内学級というは病院の中にある学校で、子供達を教える教師のサポートをしているらしい。


「サポートって言っても、脱走する男の子を確保しにいく役目の方が多いですけどね。」


中庭の爽やかな風を受けながら、真彩は自嘲気味にクスリと笑う。


その日はそれだけを話して、お互い別れたけれど…。毎日病院に行く俺に、日曜日ごとに病院に現れる、真彩。


俺たちは日曜日の度に顔を合わせるのが日常化してきて。

誰からともなくだけど、自然と日曜日のお昼時には中庭に集まって、ランチをしながら色んな話をする。

それが毎週恒例のイベントになっていた。


話の内容はテレビだったり、学校の話だったり、いろいろだったけど……そのほとんどがキラのことだった気がする。


練習、練習で忙しいキラ。
大型の休みの日には必ずと言っていいほど、県や全国区の強化合宿に旅立つキラ。


それはそれでわかるけど、なんか競泳に自分が負けている気がして、なんだか寂しい、と真彩は言った。

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