あの日、あの夜、プールサイドで


良くも悪くも聞き分けのイイオンナはつまらない。


男はやっぱり狩猟民族だからなー。
逃げ出せば追いかけたくなるし、捕まえたら、飼いならしたら安心して興味がなくなる。みんながみんなそうなワケじゃないけど、どちらかというとキラはそういうタイプだと思う。


「言ってみなよ。キラにワガママ。」

「でも……コウちゃん困るんじゃないかな。
デートするってなると練習も休まなきゃダメだし……。」



どこまでいってもお人よしの真彩。
自分のことより相手のコトを一番に考えるこの子はキラにはもったいないくらいのイイオンナ。


そんな真彩がかわいくて。
キラのことで必死に悩んでる真彩がかわいくて


「好きなオンナのワガママならどんなワガママだってカワイイよ。」


そんな言葉を口にすると、真彩はハッとした顔をして俺を見つめる。



透明で澄み切った
キラキラした瞳をしている真彩。
黒目がちな瞳は黒曜石のように美しい。



そんな彼女の瞳に見つめられながらフッと笑うと、俺は彼女から視線を反らして


「俺なら嬉しいよ。
自分の大好きなオンナが俺に一生懸命な姿って。」

「…月原先生……。」

「怖がらずに飛び込んでみればいい。
自分で思ってるより…キラは真彩に惚れてると俺は思うけどね。」


大人ぶってそんな一言を呟くと


「そう…だと嬉しいけど……。」


真彩は自信なさそうにそんな言葉を口にする。



< 225 / 307 >

この作品をシェア

pagetop