あの日、あの夜、プールサイドで
俺の母親は最低な母親で
生まれた瞬間に俺を捨てた、最低の母親
ココにいるみんなは少なからずもそういう最低な両親から生まれたやつらばっかりだと思ってた。
自分勝手で
利己的で
幼稚で考えなしな、大人になりきれてない大人から生まれた子供だと思ってた。
だってここに預けられる子どもの母親たちはみんな子どもが邪魔になって、自分の幸せの為だけに子どもを捨てるような奴らばっかりだったから。
自分が再婚するのに子どもが邪魔
生んだはいいけど育てられない
そんな幼稚な理由で両親と引き裂かれた、俺の兄弟たち。
そんなダメなオトナばかりを見てたから
いつしか俺は大人に期待をしなくなってた。
望んでも裏切られる
憧れても裏切られる
それなら…期待なんてしない方がいい。
期待するから人は傷つく
憧れるから欲しくなる
もうこれ以上傷つきたくはない
傷つきたくないから、求めない――……
俺はいつの間にかそういうサミシイ考えに至ってしまっていたのかもしれない。