あの日、あの夜、プールサイドで
俺としては自分の正直な気持ちを口にしただけだったんだけど…17歳の女の子には刺激が強かったのかなぁ。
真彩はその言葉を聞いた瞬間。目をまん丸に見開いて、真っ赤な顔をさらに真っ赤にしてトマトみたいな顔色になったかと思うと、恥ずかしそうにグッと俯く。
スカートの布をギュッと握り締めると
「そういうこと言うの…やめてください。」
消えそうな声で真彩は呟く。
「私、経験値少ないから。そんなこと言われると、どうしたらいいのかわからなくなります。」
俯いて、居心地悪そうにしている真彩。高校生らしい反応を見せる彼女がかわいくて
「笑って“ありがとう”って言えばいいんじゃないの??」
「…え??」
「別に好きでもない相手に媚売ったって仕方ないだろ??笑ってサラッとありがとうで返せばいい。…ってか…俺も多くを望んでるわけじゃないから気にするな。」
クスリと微笑んで助け舟を出してやると、真彩はフッと頭を上げた。
ふと合う視線。
真彩の瞳には明らかに戸惑いの視線が隠れている。
意味がわからない、とでも言いたげに俺をじっと見つめる真彩の頭をポンポンと叩いて
「俺は好きだ、って伝えたかっただけだから。真彩を困らせたいわけじゃない
。」
「え??」
「突然キスしたのは謝るよ。
でも俺は告白できてスッキリしてる。これでやっと忘れられるかな、って……自分の中で踏ん切りはついたよ。」
そう伝えると、真彩は少しだけ傷ついた顔をした。