あの日、あの夜、プールサイドで
は?大丈夫?
何が大丈夫なワケ??
「いや…心配してるのはそういうことじゃないから。言っただろ?俺は君が好きだって。」
「はい…。」
「俺も男だからさ?好きな女とこーんな密室にいてエロいこと我慢できる自信はないワケよ。わかる??これ以上嫌な思いする前に真彩は早く家に帰りな。」
まったく…真彩は男の本能ってヤツをわかってないな。
他はどうなのかは知らないけど、俺は独占欲も性欲も人より強い方だ、と自負してる。
え??自分で言うなって??
しょーがないだろーが。
体育会系の男なんて、みーんなそんなもんだよ。
お子ちゃまな、真彩の意見は無視して
「ほら、行くぞ?車じゃなくて悪いんだけど、遅くならない内に送ってってやるからさ。」
チャリンコのキーをチャラチャラ回しながらケラっと笑うと
「やだ……。」
「は??」
「私…帰りたくない。」
真彩はギュッと手のひらを握りしめて、こんなわけのわからない言葉を呟く。
「あのなー、真彩。
俺は大丈夫だから心配すんな。変な同情ならされる方が迷惑だ。」
まったく。
わかってやってたら相当悪い女だぞ??男の前でこーんなセリフ口にしたら、大概のオトコに美味しく頂かれちゃうんだから。
「お前は俺のことなんて頼りになる先生くらいにしか思ってないだろーけどさ?俺はお前相手に結構エグいことまで考えてるわけさ。」
「……。」
「今ここで押し倒したらどうなんのかな、とか、一つになったら気持ちいいのかな、とか他にも言えないこととかいっぱい。」
真彩は頑固だけどキツイ言葉で言い負かせば、もう食いついてこないはずだ。
「オマエが心とカラダで癒してくれるっていうなら、部屋にいればいいけどさ?そうじゃないなら、とっとと帰んな。」
真彩がひるむことを予想して、きつめの言葉で突き放したのに
「いい…よ??」
「は??」
「それで先生の気が済むなら…それでいいよ。」
真彩は瞳をウルウルさせながら俺をジィっとすがるように見つめてくる。