あの日、あの夜、プールサイドで
俺のいるべき場所はこの愛児園。
静枝さんと真彩とたくさんの兄弟たちのいる、この愛児園。
だけど……
寧々は違うんだな。
寧々が帰る場所は、母親の胸の中。
誰よりも寧々を愛してくれる、あの人の胸の中が寧々の帰るべき場所なんだ……。
静枝さんに抱きしめられながら、そのことを悟った俺。
小さく小さくコクンと頷くと
「…彼女が幸せになれるように、みんなで応援しましょう。ありがとう、光太郎。優しいあなたが、誰よりも優しくて傷つきやすいあなたが私は誰より大好きですよ?」
静枝さんはそう呟いて
俺のこめかみに優しく優しくキスをした。
夕日の差し込むプレイルーム
泣きじゃくる親子に
静かに見守る俺と静枝さん
そんな俺たちを夕日と真彩が見ていた。
幸せになれますように
誰よりも寧々が幸せになれますように――……
俺は見たこともあったこともない神様に、心からそう祈った。