あの日、あの夜、プールサイドで
「んっ…くすぐったいよ、先生。」
「くすぐったいってことはそこが真彩の性感帯なんだよ。」
「…え??」
「ちょっと我慢してごらん?今はくすぐったいだけかもしれないけど、そのうち気持ちよくなるから。」
真彩の体は小さくて柔らかくて、どこまでも温かい。俺はまるでSEXを覚えたてのクソガキのように、夢中で彼女の体を貪(ムサボ)った。
抱き合っている間は、忘れられた。自分の年齢も真彩の年齢も、キラのことも、何もかも。
逃げてるだけと言われればそうなのかもしれない。だけど…今だけは忘れていたかった。
「んっ、先生っ…!」
《好きだから一緒にいる。》
ただそれだけのことが、どうしてこんなに難しいんだろう。
ただ好きなだけなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
真彩と抱き合っている間、理性よりも本能が優っている間は何もかもを忘れられた。
この胸の苦しみも、後ろめたさも何もかも抱き合っている間は忘れられた。だから、何度も何度も俺は真彩を欲しがった。
もしかしたら…真彩も一緒だったのかもしれない。
俺が求めるたびに真彩は呆れたように笑って
「先生って…野獣みたい。」
「え??」
「食べても食べても、お腹が空くんだね。」
そう言って俺の体にギュッと抱きつく。そして、耳元でこう囁いた。
「美味しく食べて…いいよ??」