あの日、あの夜、プールサイドで
◇私じゃダメかな。
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寧々が母親に引き取られて早や4か月。
寧々は愛児園から電車で2時間程度の場所に母親と二人で住んでいる。母親はスーパーでレジ打ちのパートをしているらしい。
そんなにお金はないけれど、母子二人で幸せに暮らしている寧々。
もう金輪際、寧々には会えないのかな…
なんて思っていたけれど、寧々をお返しする時に
「一か月に一度、光太郎に顔を見せに来てやってください。それが…寧々ちゃんをお返しする条件です。」
静枝さんがそう言ってくれたから
寧々はひと月に一度、この愛児園に遊びに来てくれている。
会うたびに大きくなる、寧々
表情が豊かになって、カラダも大きくなって、日々成長を遂げる寧々。
「コウにいちゃーーんっ!!」
あの頃と変わらずに満面の笑みで俺に飛びついて、無償の愛をくれる寧々。
寧々のお母さん…
松浦さんには悪いんだけど、やっぱり俺は寧々離れができそうにない。
寧々が来る前の日は楽しみすぎてなかなか眠れないし、帰った日はさみしくて涙がこぼれそうになる。