あの日、あの夜、プールサイドで
離れたく…なかったんだ。
真彩と過ごす一ヶ月は思う以上に楽しくて、、、幸せで、この生活を知らなかった前には戻れない。
そう…思ってしまった。
どうやら、そう思っていたのは俺だけではなかったらしく
「あの、ね。先生。
仮契約してたアパートなんだけど…契約するの辞めちゃだめかな…。」
真彩が呟いたそんな一言をきっかけに、同居生活は同棲生活に大変化。身寄りのない俺たち二人は些細な喧嘩はするものの、初めて体験する幸せな毎日を過ごしている。
真彩が看護学校で忙しい時には俺が家事をして、真彩が暇な時には真彩が家事をする。
何も言ってはいないし、相談したわけでもないけれど、ふたりのあいだで不思議な役割分担ができていた。
俺も真彩もちゃんとした家族、ってヤツに縁がなくて、これという家族の答えも見えないままに暮らしているけど「俺たちの親もこうやって家族になっていったのかな。」なんて、笑いながら話してる。
キラには相変わらず、会えてはいない。
噂や新聞であいつの名前はよく聞くけれど…あんまりいい噂を聞かなくて、その度に罪悪感に駆られて苦しくなったり…する。