あの日、あの夜、プールサイドで
懐かしいその言葉。
どこかで聞いたことのあるそのフレーズに驚いて目をまん丸にして彼女を見つめると
「夏の日差しって強くて輝いてて…ダイヤモンドの光みたいじゃない??」
彼女はフフフと笑いながら、俺に問いかける。
ーーあ、あぁ、なんだ。
日差しのことか。キラのことを言っているのかと思ってどきりとした。
俺はホッと一息ついて
「そうですね。
ギラギラしてキラキラして…眩しいくらい。俺ね?ガラじゃないけど水しぶきが太陽に当たってキラキラ光るのが好きなんですよ。」
そう答えると
「競泳やってる人ってみんなそうなのかしら。あの人も同じことを言ってたわ。
“水しぶきが太陽に当たるとキラキラ光ってダイヤモンドの光みたいに輝いてて見える”って。」
懐かしそうに目を細めて…婦長さんは俺に笑いかける。
「そうかもしれませんね。
競泳やってる人間にとって…夏は特別ですから。」
キラと出会った日。
二人でバカみたいに練習した、夏休み。
そんなことを思いながら空を見上げると
「おかしいのよ。
あの人自分の子供には『光太郎ってつけるんだ!』って言って聞かなかったの。」
「えっ?!!」
婦長さんはこんな言葉を口にする。