あの日、あの夜、プールサイドで
光の子愛児園には、ありとあらゆる子どもが逃げ込んでくる。
1才から18才まで
25人の男女が共同生活を送る愛児園では、職員も子どもも、その場にいるみんなが家族だった。
静枝さんはいつも言ってた。
生まれた場所
父親と母親が違っていても
みんなは私の可愛い子どもだ、と。
職員たちみんなはみんなの保護者。
みんなは全員兄妹なのよ、と。
あなたたちは血よりも強く、尊い絆で繋がれた兄妹なのよ、と。
沢山の愛を兄弟達から学びなさい。
それが静枝さんの口ぐせだった。
自宅を持たず、愛児園の一室で寝起きをする静枝さん。
そんな彼女の息子である俺もまた、愛児園で生活する一人として何の疑問も持たずに育った。