あの日、あの夜、プールサイドで
そう言って担任は俺の頭をクシャクシャと撫でる。
「ちょっと、やめてよ!!」
これでもセットに時間かかってんだからな!!
プリプリ怒りながら睨み付けると
「今日一日考えてみろ。
もし興味があれば、明日の昼1時にプールに来い。」
担任は俺の頭をポンと叩いて、にっこり笑う。
だから、行かないって言ってんじゃん!
しかも明日は土曜日で寧々が来る日なんだぞ?!
学校なんて行ってる場合じゃないって!!
「行かないよ、興味ないもん。」
俺の今の最大の興味は寧々だ!
俺は新聞配達のバイトで金貯めて、アイツにランドセルをプレゼントするって決めてるんだ!!
それを活動してるのか活動してないのかわからない水泳部なんかに吸い取られてたまるか!!
「えー?オマエ絶対向いてると思うぞ?
オンナも勉強も金も名声も、全部手に入れちゃえばいーじゃん。」
「…はぁ??」
職員室の窓側の席
5月の爽やかな光が差し込む席で“うーん”と伸びをすると、担任・月原和也(ツキハラカズヤ)は先生らしからぬ言葉を口にする。