あの日、あの夜、プールサイドで


は??
寧々に聞く??


またまた飛び出した“聞く”というキーワードに首を捻っていると


「俺、水泳やってもいい??って寧々に聞けよ。」


「…え!?」


「泳ぐのが楽しかったら。明日泳いでみてさ??このまま競泳続けたいって思ったら聞けばいいんだよ。」


夕飯のカレーをスプーンにすくいながら、ジュンはサラッとこんな一言を口にする。





寧々に…??





「バカ。あいつの年を考えろよ。」


「えぇ?」


「アイツまだ5歳だぞ?幼稚園児だぞ?
そんなこと聞いたって…しょうがないだろ。」






寧々はまだ幼稚園児
理性じゃなく感情で動く、まだまだ動物みたいな生き物なんだぞ??



そんな奴に聞いたところで何の解決にもならないだろ??




呆れたように、手に持っていたお茶をテーブルの上に置くと



「でもそれで寧々が“うん”って言ったらさ?コウちゃんの後ろめたさはなくなるんじゃないの??」



ジュンは何食わぬ顔してカレーをパクンと口に放り込みながら、ニッコリとほほ笑む。





「別に寧々に真剣に決めさせろって言ってるわけじゃないよ。たださ??それでコウちゃんの気持ちが楽になるなら、前向きになれるならアイツに聞く意味は十分あると思うぜ??」



「そう…かな……。」



「そうだよ。ランドセルも競泳も頑張れば二つ手に入れられんじゃね??新聞配達してその後部活…でもいいじゃん。コウちゃん、要領いいからうまいことやっていけると思うけど??」


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