あの日、あの夜、プールサイドで
ダイヤモンド……ね。
俺にそんなもの隠されてるのかどうかわからない。
大体、月原の言葉だって半信半疑なんだから。
でも……
可能性を見つけないフリはできない。
俺はただでさえハンデがあるんだ。
愛情たっぷりの静江さんに育てられたことには心から感謝してるし、寧々と出会えたこと、真彩に出会えたこと、そのすべてに感謝はしてる。
だけど生まれた瞬間に“生きる価値・生きる意味”すら捨てられた、俺。
親に求められなかった分、俺は自分の生きる場所、生きる意味について誰よりも貪欲だと思う。
俺をもっと求めて欲しい。
俺をもっと認めて欲しい。
俺にしかできないコト、俺にしか成し得ないモノを探したい。
俺はコレをするために生まれてきたんだ!!
そう誇れる何かが欲しい。
もしかしたら、それはずっと考えないようにしていた俺の本心で、ずっとココロに蓋をし続けてきた欲望かもしれない……
――大概欲張りだなぁ、俺も。
自分で自分に苦笑しながら、俺は水の中に身を沈める。そして思いっきり壁を蹴るとカラダを伸ばして泳ぎ始めた。