あの日、あの夜、プールサイドで
「コウにいたん。」
「ん??」
「ねね、ちゃんとごはんたべるからぷりんちょーだい!」
「あのなー、話聞いてたか??夕飯食るまではがーまーーんっ!」
寧々の大好物はプリン。
プッチンと出てくる、あのプルプルのプリンが寧々は何よりも好きだ。
今日はさ??
静枝さんからもらったお小遣いで、寧々にあのプリンを買ってきてやったんだけど……。さっき丸々一個食べたばかりだというのに、食いしん坊な寧々はまたプリンをせびる。
可愛い寧々。
誰よりも大切な寧々。
でも……だからこそ、ココは心を鬼にするんだ。
デブにしちゃいけない!!
カワイイ寧々をデブにしちゃいけないんだっ!!
そう思って
「だーーーめっ!
絶対にダメだ!!」
プンッと怒りながら寧々を叱ると
「う、う、う、う、…!!
コウにいたんのいじわりゅーーーっ!!!」
寧々は大きな瞳に涙を浮かべて、大声で泣き叫び始めてしまった。
愛児園中に広がるほどの大声でギャン泣きを始めた、寧々。
――う、うるせーーっ!
指で耳栓しながら、ワンワン泣く寧々に体をのけぞらせると
「あれ?コウちゃん??
寧々ちゃん、どうしたの??」
俺の部屋を女の子が覗き込む。