あの日、あの夜、プールサイドで


寧々……


可愛くて、愛しい、俺の天使。



誰よりもカワイイ、寧々の笑顔を見ながら



「なぁ、寧々。」


「んー??」


「俺…水泳部に入ってもいいか?
ちょっと寧々と会える時間も減っちゃうけど…水泳部に入ってもいいかな…??」



まるで“帰りが遅くなる”と告げるお父さんのように、いたたまれない気持ちで尋ねると



「変な兄ちゃん。」



寧々はケラケラと笑い始める。





「なんで寧々に聞くのぉ??」


「当たり前でしょ?
だって俺が一番大事なのは寧々なんだから。」



その笑顔に気持ちが緩んだ俺。
寧々と同じようにクスクス笑いながら答えると



「寧々、泳いでる兄ちゃん好きだったよ!?
見たい!もっと兄ちゃんが泳いでるところ見たい!!だから兄ちゃん、水泳部入ってもいいよっ!!寧々が許す!」



そう言って寧々はニコニコ笑いだす。




そしてその奥を見ると春の日差しのように柔らかに笑いながら、真彩がコクンと小さく頷く。



“大丈夫。
コウちゃんの思った通りにしていいよ?”



そう言っているかのように。



< 71 / 307 >

この作品をシェア

pagetop