あの日、あの夜、プールサイドで
寧々……
可愛くて、愛しい、俺の天使。
誰よりもカワイイ、寧々の笑顔を見ながら
「なぁ、寧々。」
「んー??」
「俺…水泳部に入ってもいいか?
ちょっと寧々と会える時間も減っちゃうけど…水泳部に入ってもいいかな…??」
まるで“帰りが遅くなる”と告げるお父さんのように、いたたまれない気持ちで尋ねると
「変な兄ちゃん。」
寧々はケラケラと笑い始める。
「なんで寧々に聞くのぉ??」
「当たり前でしょ?
だって俺が一番大事なのは寧々なんだから。」
その笑顔に気持ちが緩んだ俺。
寧々と同じようにクスクス笑いながら答えると
「寧々、泳いでる兄ちゃん好きだったよ!?
見たい!もっと兄ちゃんが泳いでるところ見たい!!だから兄ちゃん、水泳部入ってもいいよっ!!寧々が許す!」
そう言って寧々はニコニコ笑いだす。
そしてその奥を見ると春の日差しのように柔らかに笑いながら、真彩がコクンと小さく頷く。
“大丈夫。
コウちゃんの思った通りにしていいよ?”
そう言っているかのように。