あの日、あの夜、プールサイドで
――よし…
その笑顔と寧々の言葉に後押しされて、決意の決まった俺。
「月原…先生。」
「ん??」
「俺、泳ぎたいです。
俺を水泳部に入れてくれませんか??」
襟を正して
姿勢をまっすぐにして
視線を正面から合わせてお願いすると
「バカ。」
「??」
「誘ったのは俺だろ??」
月原は俺の頭をバシンと叩く。
「行けるとこまで行ってみようぜ、吉良。」
「??」
「俺と一緒にやるからには目指すは頂点(テッペン)以外ありえねぇからな!」
夏の息吹の感じる5月の日
俺は自分の生き方を自分で決めた。
俺が目指すのは頂上
それ以外はありえない――……
23歳の今になっても揺らがない、その信念。俺を突き動かす、原動力。
俺は誰にも負けない。
人生の勝者になってやる!と
そう決意をしたのは、中学二年生の初夏のことだった。