あの日、あの夜、プールサイドで
寧々の保護司の人が静枝さんの相談を受けて、寧々の家に行ったところ家で父親と遭遇。母親に問いかけると2週間前から一緒に暮らしている…と言うことだった。
「そ、そんなのってアリなのかよ!!
共犯者同士が同じ屋根の下で暮らしてるんだぞ!?」
そうだ。
ただでさえ危険な二人なんだ。
二人して自分達の快楽に走って、寧々という大事な娘がいながら犯罪に手を染めた二人。
そんな二人が一緒にいてもさ??
百害はあっても一利もないのは誰が見たって明らかだろう。もう一度同じ犯罪に手を出さない保証なんてどこにもない。
静枝さんの園長室の机をドンと叩いて
「アイツの母親に今すぐ別れるように言ってくれ。それが無理なら……今すぐ寧々を愛児園に保護してくれよ!!」
必死でそう訴えると
「当然です。」
「え??」
「光太郎。
あなたが寧々ちゃんを愛しているのと同じように、私だって彼女を大切に思っているんですよ??」
静枝さんは俺を落ち着かせるように、ニッコリと柔らかに微笑みながらゆっくりと立ち上がっる。
――静枝さん…
彼女だけが持つ
優しく、柔らかく、どこか安心できるオーラ。
そのオーラを纏ったまんま
「保護司の方には同じように訴えました。
寧々ちゃんを取るのか父親を取るのか…お母さまに一任を託しています。」
静枝さんは俺に優しく語りかける。
そして俺の近くに歩み寄り
そっと俺の肩を抱くと
「安心して?光太郎。
児童相談所の方にも声をかけ、週に一度は寧々ちゃんのおうちを訪問してもらえるようにお願いをしています。」
「静枝さん……」
「寧々ちゃんを守りたい気持ちは私だって同じです。私にできることは何だってやりますからね?」
そう言って静枝さんは俺の頭をよしよしと撫でる。