あの日、あの夜、プールサイドで


「キラ~!
一緒に泳ごうぜー!」


「キラ~!
ドリンクここに置いとくからな!!」



この頃になって
俺は吉良ではなく“キラ”と呼ばれるようになっていた。



キラキラのダイヤモンドの“キラ”



月原がそう言いだした途端
部員たちは俺のコトをキラと呼び出した。




正直…さ?
気恥ずかしかったけど、うれしかった。




ダイヤモンドみたいな可能性が俺の中に隠れてたんだと思うと、そのあだ名がとても嬉しくて、それと同時に自分のことが愛しくなった。





俺の中には何にもないと思ってた。


親も
愛情も
可能性も
何もかも


俺は神様から奪われて、無視されてるんだと思ってた。





だけど…
俺はいつしか
神様に感謝するようになっていた。



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