あの日、あの夜、プールサイドで
夏の日差し
プールの中に響く水の音
夏特有の緑濃い、青臭い香り
そんな空気を感じながら
寧々と真彩が来るのを日陰でポヤーンとしながら待っていると
遠くからザッザッと
激しく土をかく音がする。
――あ、来たかも。
その音に何だかほんわかして
ニヤニヤしながら音のする方をゆっくりと振り返ると
「コ、コウちゃん…!!!」
涙が瞳からドバドバと溢れ
汗と涙で顔中に黒髪がへばりつき
真っ青な顔をして
今にも倒れそうな顔をした真彩が俺の名前を大きく叫ぶ。
「ま、真彩!!?」
その表情、その声を見てピンときた。
この顔はただ事じゃない。
恐ろしい何かが、俺たちの身に降りかかってる。
「どうした!!
何があった…!!!?」
すぐさま立ち上がって
真彩の近くまで走っていくと
フェンス越しに真彩は、こんな恐ろしい言葉を吐いた。
「寧々ちゃんが…
寧々ちゃんがどこにもいないの!!!!!」