リアリスト
高級マンション。
あたしはもう、見慣れている。
人間を買う人間は金持ちが多い。
そして、あたしを買う人間は
オヤジか美形なレズビアンか。
そろそろ夜が明ける。
「もう帰るの?」
「うん」
「はい、コレ。」
万札とメモ紙。
「よかったら、また会いたい。」
そう、言われたあたしは
「気が向いたら」
と言ってマンションを出た。
歩いて、公園をいつもように探す。
前とはちがう、公園らしい公園。
ゆったりとしたベンチに腰を下ろした。
まだ、早朝だから肌寒い。
近くの自販機で温かい飲み物を買いに行こうと立ち上がった。
「よっ!!」
「あ」
あの時の美少年・翼がいた。
全身黒のスーツを着ていた。
「偶然だね!何してんの?」
あの時よりも陽気でまるで昔からの知り合いのようにしゃべりかけてきた。
「あ〜、ぼーッとしてた。」
「なんだそれ〜!!ヒマだね〜」
「あたし、夜行性だから。」
「俺も〜!!」
翼は今日も笑顔だ。
「つか、リョーコ、何の仕事してんの?」
「ニート」
「ぶッ!真面目に答えろよ!」
「娼婦」
「マジで?」
「マジで。君は?」
「俺?出張ホスト。」
翼はあたしの返答に微動だにしないわけは自分の職業にあった。
翼の服装にも、タバコにも
納得がいった。