小さな主人と二人の従者
出会い
　ジュリアはある屋敷の中へこっそりと忍び込んでいた。　

　廊下がどこまでも続いて、天井も高く、ジュリアが両手を伸ばしたままジャンプをしても届かない。窓の外を見ると、向かいの部屋で気持ち良さそうに眠っている人がいて、ジュリアはくすりと笑った。

「広くて迷子になりそう」
「女の子？」
「っ！」

　女性の声に肩を震わせて隣を見ると、メイドが雑巾とバケツを持って立っていた。ここで何をしているのかという質問を耳にして、咄嗟に嘘を吐くことにした。

「お姉ちゃんにここで待っているように言われたの」

　当然、焦っている表情を隠しながら、適当な話をすることにした。

「お姉ちゃん？ひょっとして、私と同じ服を着た人？」
「うん！だから大丈夫だよ！すぐに来るから！」
「だけど・・・・・・」

　そのとき遠くで彼女の名前を呼ぶ男性の声が届いて、メイドはどうしようかと狼狽していたので、早く行くように促した。それでも小さな女の子を放っておけないと考えている彼女は行くことを躊躇している。

「お姉ちゃんの声がしたから行くね！」

　彼女が何かを言う前に角を右に曲がって耳を澄ますと、足音が遠ざかっている。

「やっと行った。ハラハラしたよ」
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表紙・目次

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