小さな主人と二人の従者
 あの恐ろしい魔獣にも会ってしまったから。何も持たずに無防備な状態だったら、きっと命はなかったに違いない。

「あの、ちょっと質問してもいい?」
「いいぜ」
「屋敷はこの近くにあるの?」
「屋敷?」

 ジュリアがさっきまでいた場所。それを聞くと、二人は互いに顔を合わせた。

「ここは東にある森だ。あの大きな屋敷は西の奥にあるだろ?」

 この森には幼い頃に数回しか遊びに来なかった場所。魔獣が出ることがあるからと、親にきつく立ち入りを禁じられていた。

「本当にどこから来たんだ?」
「どこって・・・・・・屋敷」

 二人は目を丸くして、驚愕の色を示した。
 あの実を食べて願いは叶ったものの、かなり不満は残っていた。

 もう少しましな場所へ移動させてくれたら良かったのに!
 よりによって吸血鬼や魔獣のところへ飛ばすなんて!

「くくっ、何を百面相しているの?」
「忙しい奴だな」
「お兄さん達、笑い過ぎ!」

 全身血塗れなのに、そんなことはどうでもいいとばかりに笑い合っている。

「名前で呼んでくれない?俺の名前はギャレット・シールド」
「俺はケネス・フォローズ」
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