小さな主人と二人の従者
「どうしてそんなことを?俺が何を読むかぐらい君も知っているよね?」

 後悔しても遅い。どうやってこの危機から逃れようかと考えた。

「最近読む本までは知らないよ」
「なるほどね」

 ちょっとした質問や答えで相手に違和感を感じさせてしまうので、気をつけながら話をするように心がけた。

「最近は俺も小説を読むよ。恋愛はあまり読まないな」
「そっか」
「ジュリア、知っている?」

 学校のことについての質問は受けつけない。

「何を?」
「学校の庭に面白いものがあることを」

 庭以外だったら何ヶ所か知っていた。

「知らない。何?」
「本借りてから案内してあげる」

 二十分後に図書館を出て、中庭へジュリアを誘った。やっと立ち止まり、辺りを見回しても何もなかった。

「何もないよ?」

 何か仕掛けでもあるのかと、壁を触ろうとしたら、カーシーが手をかざした。

「今から見せるからちょっと待っていて」
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