小さな主人と二人の従者
　カーシーが魔法を発動させると、目の前に扉が現れた。

「ひょっとして隠し部屋？」
「そうだよ。もう学校を卒業してこの学校にはいないけど、まだ生徒だったときに作ったみたい。ちなみにこれは先輩から聞いた話」
「先生も知っている？」
「ううん、知らないよ。入ろう」

　カーシーは部屋に入って、続いてジュリアも中へ入った。部屋の中はオレンジの照明の効果で温かみのある空間となっていて、白いベッドに小さな木製のテーブルと深く腰を掛けることができる椅子。壁には一枚の花の絵が飾られてある。

「どう？気に入った？」
「気に入ったよ。落ち着きがあっていいね」

　ジュリアの好みを捉えている部屋だった。

「ここだったら、邪魔されないでしょ？」
「そうね。本をゆっくり読むことができるね」

　本を読むことに夢中になって、時間を忘れてしまいそう。そう思っていると、カーシーが本をテーブルに置いたときに肘で一冊落とした。

「ごめん」

　カーシーが本を拾おうとしたときにジュリアはすでにジュリアが拾っていた。

「はい」
「ありがとう」
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