小さな主人と二人の従者
「そうだ、本で思い出した」

 カーシーを落とした本を置いて、ジュリアをベッドに座らせてから隣に座って、ジュリアの肩にそっと触れた。本人はその手を一瞥するものの、払い除けることはしなかった。

「ずっと前にジュリアが読むような恋愛小説のような恋に落ちたらどうなるのか、ふと気になっていたでしょ?ひょっとして今も?」

 ジュリアは頷いて肯定する。昔から素敵な出会いに憧れていたから。それは本に限らず、学校の女の子達と恋愛話で盛り上がったからでもある。

「恋に落ちたら、君は変わるの?」
「そんなの・・・・・・」

 異性に特別な想いを抱いたことがないジュリアは肯定も否定もできなかった。

「そんなの、そのときになるまでは何とも言えないよ」
「じゃあ想像してみて。もし、恋人と出かけるとしたらどこがいい?」

 楽しい想像をすることは何度しても楽しい。

「一緒に買い物へ行ったり、食事に行きたいな。それに家でまったりデートも楽しそう」
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