小さな主人と二人の従者
 嬉しそうに話すジュリアを眺めながら、カーシーは恋人同士が繋ぐように指を絡めてきた。

「やってみない?」

 告白をされたのかと、一人冷静を失っていると、カーシーはつけ加えてこう言い放った。

「俺も真実の恋愛が何かをずっと知りたかったんだ。ジュリアも恋愛に憧れを抱いている。だから俺とやろうよ」

 ジュリアは素直に返事をすることができずに戸惑っていた。

「そんなの・・・・・・駄目・・・・・・」
「どうして?」
「こういうことは相手のことをよく知って、互いに恋愛感情を抱いているときにするの」

 デートもキスも大切なことだから特別になる。

「恋に落ちた女の子はみんな変わるよ」

 本当に誰もが代わるのか質問すると、彼は頷いた。

「君はどうなるんだろうね?本当に心から想っている相手が傍にいたら、俺が知らないジュリアを見ることができるかもしれない。今のジュリアが全て本当のジュリアだとは思っていない」
「本当の・・・・・・私?」
「嫌な現実にぶつかったとき、二つの道があるとすればどっちを選ぶ?傷つくことも傷つけることもない道かその逆か」
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