小さな主人と二人の従者
　心の奥まで覗かれているような気分になり、目を逸らしたくてたまらなかった。

「ジュリア、目を逸らさないで。俺を見て」

　どうやら無意識に目を逸らしていたようだ。
　額と額がぶつかって下手をすれば、鼻や唇まで当たってしまいそうな距離だった。

「ずっとおかしいと思っていたんだ。ジュリアの様子が大きく変わったことやケネスやギャレットと行動するようになったこと」

　カーシーの声は確信したような声を聞きながら、ジュリアは冷や汗を掻きながら、嫌な予感がしていた。

「図書館で俺達が約束をしたことを話したでしょ？」
「うん、話したよ」
「あれね、嘘だよ」

　ジュリアの胸の中で風が吹いた。

「記憶、ないよね？ジュリア」

　何も言わないジュリアを見て、カーシーの予想は当たっているのだと思った。沈黙することは肯定を意味しているのと同じ。

「いつから・・・・・・気づいていたの？」
「休み明けに厨房で会ったとき」

　記憶喪失になって間もない頃だった。
　彼の勘の鋭さに何も言えなくなってしまいそうになる。

「それを二人は知っているんだ？他に知っている人は？」
「知っているのは二人だけだよ」
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