小さな主人と二人の従者
 厨房へ行くと、いつものようにぬいぐるみの妖精がお茶とお菓子を出してくれた。いつ見ても可愛くて癒される。

「数種類のクッキーを用意したよ。お好きなものをどうぞ」

 お菓子とお茶を用意してくれたのはくまのぬいぐるみだった。

「じゃあ君で」
「だ、だめだよ。僕は忙しい!」

 ぬいぐるみは逃げるように飛んで行ってしまい、皿を洗い始めた。

「体調はどう?」

 セリーナ先生の質問に元気に返事を返した。

「健康ですよ!」
「ジュリアが元気になってくれて何よりね。これはケネスとギャレットのおかげ?」
「そうですね。彼らと一緒にいて充実していますよ」

 喧嘩をすることがあっても、時間が経てばどちらかが先に謝って仲直りをする。

「あんなにギャレットのことも拒絶をしていたのに、信じられないわね」
「ジュリアは私ともほとんど話をしなくなっていたから、あのときは何もできない自分が本当に嫌だったわ」

 落ち込むミラベルにジュリアはどう言ってあげようかと悩んだ。

「ミラベル、そんなに責めないで」

 先に慰めの言葉をかけたのはセリーナ先生だった。
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