小さな主人と二人の従者
「あのときの私は誰にでも同じくらい怖がっていた?」

 ミラベルはジャムをテーブルに置いて、ちょっと考えてから口を開いた。

「同じように見えたわ。でも・・・・・・」
「異性に対して大きく拒絶を見せていたわね。私達より」
「最初は誰かにいじめられたのかと考えたわ。だけど、みんな本気で心配しているからすぐにそれはないと思ったの」

 記憶を失ってから随分日が経っているが、誰もジュリアのことを毛嫌いする者はいなかった。

「だいぶ前からギャレットさんはジュリアの傍にいたわよね。ジュリアもからかわれることを嫌がりながらも彼が話しかけたらちゃんと受け答えをするから、彼もジュリアにずっと構っていたのだと思うわ」
「傍にいたって、ミラベルから見てどんな感じだったの?」
「だって授業が始まる前や終わったとき、とにかく授業がないときは彼があなたを独占していたくらいよ」

 これはおかしいと強く思った。

「私達が話すときは話す回数は多く感じた?」
「会う度に話して・・・・・・いえ、彼が質問するか、ひたすら話をするかが多かったわね。中には恋人同士ではないかと思った生徒もいたくらいだから」
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