小さな主人と二人の従者
 記憶喪失になったばかりにギャレットが数回しかジュリアと話したことがないことを教えてくれたのに、これでは彼が嘘を吐いていたということになる。
 どうして彼はそんな嘘を吐く必要があったのか、新たな謎ができて、ジュリアは頭を抱える。

「どうかした?」

 セリーナ先生に心配されて、大丈夫だということを伝えた。

「今もそう思っている生徒はいるかな?」
「いるでしょうね。きっと」

 ギャレットが一体何を考えているのか、ジュリアには想像することすらできなかった。

「ジュリア、言っていたわよね?学校で偶然会った彼に気に入られたことを。あのとき何をしていたの?」
「だいぶ前のことだから、記憶にないの・・・・・・」
「そうね。かなり前だったわよね?」

 ジュリアは恐る恐る頷くしかなかった。

「それからカーシーさんにも気に入られて、ギャレットさんが不満を抱いていることは一目でわかったわ」

 自惚れるつもりなんてないが、つまりそれは二人がジュリアに対して好意を抱いてくれていると考えることが一番だった。彼は嘘を吐かないと不都合だったのだろうかとひたすら考えていた。

「ジュリア、私もミラベルもいつだってあなたの味方だからね。それを忘れないで」
「ありがとうございます」
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