小さな主人と二人の従者
 深々と頭を下げようとしたときに扉が開いて、生徒が顔を覗かせた。

「セリーナ先生、後でちょっとよろしいですか?」
「今、行くわね」

 セリーナ先生は資料を抱え直して立ち上がった。

「じゃあね、二人とも」
「お忙しいところをありがとうございました」
「いいえ、こちらこそ。それじゃあごゆっくり」

 セリーナ先生と生徒が行ってから、皿からクッキーを一枚取って、ジャムを塗って食べていると、再び扉が開いたので、先生が何か忘れたのかと思っていると、また何かが聞こえてきた。

「けほけほ・・・・・・」

 誰かが苦しそうに呼吸をしている。

「どこ?」

 この声の主はカーシーが前に見せてくれた夢に出てきた女性の声だった。

「ジュリア、どこにいるの?」

 彼女は必死にジュリアの名前を呼んで走り回っている。

「お願い、返事をして」

 声が泣いていた。何も見ることができずにいると、遠くでもう一人ジュリアを呼ぶ者がいた。

「・・・・・・リア、ジュリア!」

 その声に反応すると、ミラベルとギャレット、ケネスがいた。
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