小さな主人と二人の従者
　ルースは獣族で動物の言っていることがわかるので、話をすることもよくある。いつも楽しそうに動物達とじゃれあっているので羨ましい。ジュリアが動物に近づいても、懐くどころかじっと見つめてそのままどこかへ行ってしまうことが何度もあった。
　ルースによると、近寄ることができない雰囲気を醸し出しているからだそうだ。それを聞かされたジュリアは項垂れるしかなかった。

「ったく、休日前に嫌なことが起きたものだぜ」
「ルース、嫌なことの次には良いことがありますから」

　ケイティの言葉をルースは否定して消した。

「そうとは限らねぇだろ。嫌なことが続くことだってあるぜ」
「明日は私と二人でホープ市に行くことは嫌なことですか？」

　しょぼんとするケイティを見て、ルースは誤解されたので焦っていた。

「嫌な訳ねぇだろ！嫌だったら約束をするかよ！」
「そうですか？それなら良かったです」
「何か買いたいものでもあるのか？」

　ケイティは笑顔に戻り、その姿はまるで子犬が尻尾を振っているようだった。

「明日だけアイスクリーム屋がホープ市でアイスクリームを販売するみたいです。そうですよね？ミラベル」
「ふふっ、そうよ。楽しんできてね」
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