小さな主人と二人の従者
　ルースはケイティには弱く、彼女を悲しませるようなことをしたくない、笑顔にしたいと常に思っている。

「どうですか？」
「デートだよ」
「本当に仲が良いんだね。僕もいつか恋人が欲しいよ」
「ところでエヴァン、何か持っているの？」
「これ。実験室で作っただよ」

　小瓶の中には水色の液体が入っている。

「飲んでみるかい？」
「飲むことができるの？」
「そうだよ。これは飲むことができる香水だよ」

　だからエヴァンからいい香りがするのだと納得した。

「エヴァン、私に譲ってくれませんか？」

　ケイティが一歩前に出た。エヴァンから香水を受け取ってそれを飲むと、エヴァンとは違う香りを放っている。

「おい、どうして香りが違うんだ？二種類作ったのか？」

　ルースがケイティの髪や手首に鼻を近づけて嗅ぐと、オレンジの香りがした。

「これだけだよ。飲む者によって、香りが変化するようになっているんだ」

　飲んだ者の気分で香りが決まる。ちなみに気分が良くなければ、鼻を塞ぎたくなるくらい異臭になるとエヴァンから説明を受けた。

「ジュリアちゃんが飲んだら、どんな香りに変わるのかな？エヴァン、まだ香水はある？」
「もうないね。また作るから待っていてくれるかい？」
「もちろん。楽しみにしているよ」
「私だけ置いてけぼりで話を進められている・・・・・・」

　ギャレットとエヴァンはその後もこの話で盛り上がっていた。
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