小さな主人と二人の従者
「ミラベル、可愛い」
「もう、ジュリアったら、自分じゃないからって」
「あはは、怒っていても可愛い」

 ミラベルの声が子どもの声になっているおかげで怖いと思わず、むしろ癒される。

「ジュリアちゃん!はい!」
「あっ!」

 ギャレットがジュリアにカードを使うと、格好は女医のままで何の変化もなかった。

「いきなり何するのよ!やめてにゃん!あれ?」

 ジュリアが首を傾げていると、ギャレットはにんまりと笑って、ジュリアの顎を擽る。

「や、やにゃっ!」
「どうして?気持ち良いでしょ?猫ちゃん」
「にゃっ、にゃう・・・・・・」

 耳や尻尾はないものの、猫の鳴き声が語尾につくようになった。ギャレットは自分にカードを使っていなかった。

「ミラベルちゃん、ねこじゃらしを持っていない?」
「持っていません」
「誰も持っていないにゃん!」

 同時に返事をしたので、ジュリアがミラベルの声を消した。

「俺はミラベルちゃんに話しかけたんだよ?どうして猫ちゃんが邪魔をするのかな?」

 ギャレットの指に翻弄されながら、どこかへ避難しようとするものの、しっかりとギャレットの腕で逃げられないように固定された。
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