小さな主人と二人の従者
「こらこら、逃げないの。優しく躾をするから。ね?」
「にゃあああ・・・・・・」

 今のギャレットの笑顔が胡散臭い。

「嫌にゃ、ミラベル!」

 いたはずのミラベルがいなくなったので左右を見たら、まだ遊びたがっているアンナに引っ張られていた。

「残念だったね。ジュリアちゃん」

 満足げに笑うギャレットが憎たらしかった。その態度は主人に対する態度とは思えないくらいだった。

「たっぷり可愛がってあげるからね」

 それから数十分後にようやくギャレットの擽り攻撃から解放されて、ジュリアは立つことすらできない状態にまで追いやられた。ソファに横になろうとする前にギャレットが座ってジュリアの頭を膝に乗せた。

「くくっ、とっても可愛かったよ」
「私のことを玩具にして」

 文句を言いながら座ろうとしても、ギャレットに頭を押さえつけられる。

「もう何もしないからじっとしていて」
「こんなところを見られたくない」

 ゲームに夢中になっているとはいえ、気づいている生徒だっている。それでも何も言わないのはジュリア達をそっとしようと思っているから。

「誰も見ていないよ」
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