小さな主人と二人の従者
「そのカメラ、何?談話室にあった?」

 アンナが持っているカメラは大きくて、丸い形をしている。

「これね、魔法具の専門店で買ったカメラなんだよ。これで撮影すると、過去の自分が写真になるの」
「そのカードは?」
「こっちは『イメージカード』だよ。カードの絵を先に想像してから捲って遊ぶカード。ただ、さっきのコインと違うところはこのカードを捲っても、絵が別の絵に変わることが多いの。だから先読みをして当てる必要があるんだよ」
「そうなの」

 このカメラで撮影してもらえば、何かがわかるかもしれない。
 けれど、家にあるアルバムを何冊か見たけれど、大して記憶は戻らなかった。

「やってみる?」
「せっかくだからやる」

 アンナと勝負をすると、ジュリアが負けた。これはジュリアにとって都合が良かった。

「じゃあ撮るからね」

 撮影した写真はすぐに現像された。アンナが先に見て、なかなか写真を渡そうとしない。

「きちんとできなかったの?」
「そうじゃない、ジュリアの隣、ギャレットさん?」
「写真を見せて!」
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