小さな主人と二人の従者
 ケイティがルースを撮影すると、そこには幼いルースとケイティが手を繋いでいる写真ができた。ジュリアのように不思議に思っている二人にアンナはもう一度同じ説明をした。

「ルース、私を撮ってください」
「どうしてだよ?負けたのは俺だぜ?」
「私はルースと一緒にいる写真が欲しいから」
「だったら、これをやるから。な?」
「それはだめです」

 きっぱりと言い放ち、受け取らなかったケイティを見て、ルースは狼狽している。

「ど、どうしてだよ?」
「ルースが私のことを強く想ってくれているように、私も同じだと証明したいからです」
「お前は恥ずかしげもなく堂々と言いやがって!」

 ルースはケイティの真剣な気持ちに応えるように、照れた顔を隠しながらシャッターを切る。

「どうですか?ルース」
「自分で確かめろ」

 ルースは写真から視線をはずして、ケイティに先に見るようにと渡した。それを見たケイティは満足そうに笑って、ルースに見えるように両手で写真を前に出した。そこには微笑んでいるルースとケイティが写っていた。

「写真、大事にしますね」
「あぁ」
「ルースも大事にしてくださいね」
「言われなくてもするに決まっているだろう!」

 その後は一部始終を見ていた生徒達が仲良くしている二人をからかっていた。

「お前ら、いい加減にしろよ!!」

 ルースの怒号が談話室中に響いた。
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