小さな主人と二人の従者
 座った後に斜め前に座るケイティがこちらを見ていたので、さっきのことをもう一度お礼を言うと、笑顔で返してくれた。
 セリーナ先生の授業はわかりやすく、生徒のペースに合わせながら授業を進めてくれるから、生徒達からの評判が良い。どの科目も同じ時間なのに、セリーナ先生の授業は特に時間が早く過ぎているように感じている。

「じゃあ、この問題はミラベルにしてもらいましょう」

 ミラベルは何事もなく問題を解いた。ジュリアも頭の中で出した答えが正解だった。授業が終わるときはケネスとギャレットと談話室で待ち合わせをしていることが多い。
 しかし、今日は二人とも授業がジュリアより遅い時間までやっているので、教室で待ち合わせをしていた。二人がいない間にカーシーがいそうな場所へ移動した。厨房にも図書館にもいなかったので、残りは以前に彼がジュリアに教えてくれた隠し部屋だけだった。ジュリアの読み通り、カーシーが隠し部屋の中へ入ろうとしていた。

「カーシー!」
「ジュリア!ひょっとして俺に会いに?」
「そうだよ」
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